おらんとうの憲法条例

 

目次

 

 前文

第1章 総則(第1条、第2条)

第2章 市民の権利・責務(第3条〜第5条)

第3章 市政運営の諸原則(第6条〜第17条)

第4章 議会の役割(第18条、第19条)

第5章 執行機関の責務(第20条〜第26条)

第6章 福祉とまちづくり・NPOと第三機関の役割・関係

          (第27条〜第36条)

第7章 甲府市と山梨県と国との関係(第37条〜第39条)

第8章 最高法規性(第40条〜第42条)

附則

1では、本条例全体を通しての総則的規定として、「目的」および「基本理念」を規定します。

 

2では、「市民の権利」および「責務」について規定します。市政の主体として位置づけた市民の権利及び責務を明らかにし、その実践を通して、市民自らがその役割を自覚していくことは、市民自治の一層の推進という本条例の目的達成のためには大きな意味があります。

 

3では、「議会」および「執行機関」、そして市民が「市政運営」していくにあたっての基本原則や基本制度を定めたものを規定します。

 

4では、「議会」に関する原則や規定を設けています。ここでは、議会に関する制度上の事項を確認的な意味で規定する部分もあります。

 

5では、「執行機関」に関する規定を設けています。

 

6では、「市民」が積極的にまちづくりに参加することや福祉向上を図るとともに、甲府市を活発にするための規定を設けています。

 

 

7では、地方分権改革によって国、県、市町村の関係が「対等・協力」になったことから、改めて甲府市とそれぞれの関係についての基本的な考えを規定します。

 

8では、おらんとうの憲法条例の「最高法規制」について規定します。市民による自治と自治体運営の根本に関するルールを定めたものであり、当該自治体にとって「基本法」に位置づけられるものであります。




第1章          総則

 

(目的)

第1条       この条例は、甲府市における自治の基本理念を明らかにするとともに、甲府市においての基本原則、市長の責務、議会における機能、自治運営、市民の役割を定めることによって、市民自治の一層の促進と市政の自己革新の実現を図ることを目的とする。

(基本理念)

第2条       甲府市民および甲府市は、公正で開かれた市民主体の市政を目指すとともに、多様で個性豊かな地域社会を築くため、自らの地域のことは自らの意思で決定し、権限および責任を持ち、甲府市民一人一人の不安や課題を地域の課題として取り組むものとする。

 

第2章          市民の権利・責務

 

(市民の権利)

第3条 1、甲府市民は、まちづくりの主体であり、甲府市の保有する情報を知る権利と常にまちづくりに参加する権利を有する。

2、甲府市民は、まちづくりに関して意見を述べ、政策の企画立案と決定および評価に関し参加する権利を有する。

      3、前項における権利は、性別・国籍・年齢・心身の状況に関わらず、全ての市民に平等に与えられる。

      4、甲府市民によるまちづくりの活動は、自主性および自立性が尊重され、市の不当な関与は受けない。

      5、甲府市民は、まちづくりの活動への参加または不参加を理由として差別的な扱いを受けない。

 

(満20歳未満の市民のまちづくりに参加する権利)

  第4条 満20歳未満の青少年および子どもは、それぞれの年齢にふさわしいまちづくりに参加する権利を有する。

 

(市民の責務)

第5条    甲府市民は、まちづくりの主体であることを自覚するとともに、まちづくりにおいて自らの発言と行動に責任を持ち、積極的にまちづくりに取り組むよう努める。

 

 

第3章          市政運営の諸原則

 

【基本原則】

甲府市の行政の原則)

第6条    甲府市は、多様化する市民のニーズに柔軟で的確に対応できる組織づくりとともに、甲府市における問題、課題を総合的に対応できる執行体制づくりに努めなければならない。

 

甲府市民参加の原則)

第7条   甲府市は、政策の立案、決定、実施および評価の過程において、甲府市民が参加する機会を設け、この機会の拡大に努めなければならない。

 

(説明責任の原則)

第8条    甲府市は、政策の立案、決定、実施および評価の過程を、甲府市政に関して甲府市民にわかりやすく、的確な説明をするように努めなければならない。

 

【市民との参加と協働】

(情報公開)

第9条    甲府市は、公正で開かれた市政を図り、行政に関する情報をできる限り甲府市民に提供し、甲府市甲府市民が共有できるための措置を努めなければならない。

 

(審議会等の公開)

第10条 甲府市は、審議会等の会議を、原則として公開しなければならない。

 

甲府市民の意見反映)

第11条 甲府市は、甲府市民の生活に広く影響を与える政策の立案にあたっては、事前にその政策内容・情報を公開し、広く甲府市民の意見を求め、提出された意見を反映させ、さらにその反映状況を公表しなければならない。

 

(住民投票)

第12条  1、甲府市長は、選挙権を有する者の総数の50分の1以上の者が署名を提出し、住民投票の実施請求があった場合、そのことを尊重し、実施しなければならない。

       2、甲府市長は、議会から甲府市の政策についての住民投票の実施請求があった場合、それを尊重しなければならない。

 

       3、甲府市長は、甲府市の政策について甲府市民の意思を直接問う必要があると認めた場合は、住民投票を行うことができる。

       4、甲府市長・議会は、これらの住民投票の結果を十分に尊重しなければならない。

       5、 この住民投票の必要な事項は、甲府市住民投票条例で定めるものとする。

     甲府市住民投票条例は、まだ条例としてないので制定を求める。

 

甲府市民との関わり)

第13条 甲府市は、甲府市民の一人一人の疑問に答え、問題・不安を解決するように努めなければならない。また甲府市民の声を聞き、その声を甲府市まちづくりの活性化に生かさなければならない。

 

【甲府市の政策の推進】

甲府市総合計画)

第14条 1、甲府市は、市政運営の基本的な方向を総合的に示す長期的な総合計画を策定しなければならない。 

      2、甲府市は、この総合計画を推進し、その状況を定期的に公表しなければならない。

      3、甲府市は、総合計画推進に甲府市民の意思を反映させていかなければならならない。

 

甲府市の財政運営)

第15条 1、甲府市は、総合計画に沿った方針の下、財源を効率かつ効果的に活用し、自主的かつ自立的な財政運営を行うことにより、財政の健全性の確保に努めなければならない。

      2、甲府市は、毎回年度の予算、決算その他の財政に関する事項を公表し、甲府市民にわかりやすく説明していかなければならない。

      3、甲府市は、甲府市民に対して、財政計画、財政見通しを明らかにし、予算編成過程に関する情報を提供するように努めるものとする。

 

甲府市の政策評価)

第16条 1、甲府市は、市政運営を効率的に行うとともに、行政の透明化や甲府市民への説明責任を果たすため、政策評価を実施し、その結果を甲府市民に公表しなければならない。政策評価については、別の条例でこれを定めるものとする。

       2、甲府市は、政策評価について、甲府市民の意見を反映させなければならない。

       3、甲府市は、政策評価の結果を総合計画の推進、予算などの執行機関に反映させなければならない。

*政策評価についての条例は、まだ条例としていないので制定を求める。

甲府市民の個人情報の保護)

第17条 甲府市は、個人情報の取り扱いに十分注意し、個人利益の侵害を防止するために個人情報を適正に取り扱うこととする。また個人情報の保護については、甲府市個人情報保護条例でこれを定めるものとする。

 

第4章  議会の役割

 

(議会の役割)

第18条 1、甲府市議会は、甲府市民の代表として選ばれた議員によって組織された議決機関であり、甲府市民の多様な意思を反映させるものとする

2甲府市議会は、開かれた議会運営を行っていくために、議会の持つ情報の公開および甲府市民との情報の共有に努めるものとする

 

(議会の情報提供)

第19条 甲府市議会は、甲府市情報公開条例により、議会が行う活動に関する情報を甲府市民に公開し、開かれた議会運営に努めなければならない。また、甲府市民からの情報公開の請求があった場合には的確に答えなければならない。

 

(議決事項)

第20条 甲府市議会は、地方自治法第96条第1項に定めるもののほか、甲府市の条例で定められている、まちづくりにおける重要な案件をその議決事項とする。

 

第5章  執行機関の責務

 

執行機関の役割と責務)

第21条 甲府市は、住民がまちづくりに参加する権利を保障するとともに、多様化、高度化する地域課題に適切に対応できる総合的な市政運営に努めなければならない。

 

(組織機構)

第22条 甲府市は、まちづくりや住民の多様な行政要望に柔軟かつ迅速に対応するため、住民に分かりやすい組織機構の編成に努めなければならない。

 

(意見・要望・苦情等への対応のための機関)

第23条 甲府市は、住民の権利の保護を図り、甲府市の行政執行により住民が受ける不利益な扱いを簡易かつ迅速に解消させるため、不利益救済のための機関を置くことができる。

 

(市長の責務)

第24条 1甲府市長は、市民のまちづくりに参加する権利を保障しなければならない。

 

2甲府市長は、行政運営の方針を市民に公表することで市民の意見を聴き、まちづくりに反映するよう努めなければならない。 

3甲府市長は、甲府市の全体の向上のために、市民の意見や要望に的確に対応することができる知識・能力を持った職員の育成を図らなければならない。

 

(職員の責務)

第25条 1、甲府市職員は、さまざまな市民のニーズに誠実に対応し、効率的に行政サービスの提供に努めなければならない。

 2、甲府市職員は、率先して市民が抱える問題に目を向け、市民生活の向上を図り、甲府市民との協働に努めなければならない。

 

(行政手続の整備)

第26条 甲府市は公正で透明な行政運営を図るため、処分、行政指導および届出に関する手続きに関し、共通する事項を甲府市行政手続条例で定め、市民の権利利益の保護しなければならない。

 

第6章   福祉とまちづくり・NPOと第三機関の役割・関係

 

NPO・第三者機関の役割){甲府市地域福祉計画の策定方針}

第27条 甲府市で活動するNPOや社会福祉協議会などの第三機関は、甲府市民の地域福祉計画の意見を尊重・反映し、その甲府市民が中心的な活動を支え育てるよう努めるものとする。

 

* 甲府市地域福祉計画の策定方針は、まだ甲府市で策定途中である。

 

(健康と福祉のまちづくり)

第28条 甲府市および甲府市民は福祉の向上を図るため、地域社会における市民の社会連帯を深めよう努めるものとする。また、国・県等の行政機関および教育機関その他関係機関とも連携に努めるものとする。

 

NPOへの業務参入機会の提供){甲府市地域福祉計画の策定方針}

第29条 1、甲府市は、NPOが効率的かつ効果的に地域福祉計画に関する甲府市の施策を行うことや推進が出来ると認めるときは、当該NPOに対し、福祉業務の委託・支援の機会を提供することができる。

2、社会福祉協議会等地域福祉に関する委員は、地域住民の参加の推進やボランティア・福祉教育・まちづくり等を活発にするものとする。

(公益活動の推進)

第30条 甲府市では、地域福祉の向上によるまちづくりは、甲府市民一人一人が中心となる公益的活動を支え、その活動を生かしながら進めるものとする。

 

(活動団体の連携)

第31条 地域福祉の向上のまちづくり活動団体は、必要に応じて連携、協力し、お互いの活動の支援を努めるものとする。

 

(高齢者支援計画査定にあたって)

第32条 1、甲府市および甲府市民は、保健福祉サービスの質的充実や量的拡大等を計画的に図っていくために、保健・医療・福祉の連携に努めるものとする。

2、甲府市は、住宅・就労・生涯学習等、関係部局が緊密な連携を図りながら進行状況の把握、評価、推進に努めるものとする。

     甲府市の保健・福祉計画にある 〔甲府市高齢者支援計画〕に沿ったもの

 

(実施への参加)

第33条 甲府市は、地域の問題を解決するために、社会福祉協議会などの第三機関とNPO、大学等との協働を進めるものとする。

 

(助成等)

第34条 1、甲府市は、「甲府市重度心身障害者児童福祉手当支給条例」により、甲府市民活動または地域福祉の向上を行う市民等に対し、必要な情報の提供および技術的支援を行うことができる。

      2、甲府市長は、「甲府市重度心身障害者児童福祉手当支給条例」により、地域福祉向上の活動を行う団体への助成を目的とする基金に対し、必要な寄付を行うことができる。

 

(まちづくり活動への推進)

第35条 1、甲府市は、甲府市民、一人一人が中心となる地域福祉向上のまちづくり活動を促進するため、その活動に対して、技術的支援、財政的支援、その他必要な措置をするよう努めるものとする。

 

      2、甲府市職員は、甲府市の地域福祉向上の活動の推進に積極的に取り組むとともに、地域福祉向上の活動を支えるため必要に応じて支援するよう努めるものとする。

 

 

(まちづくりに関する生涯学習)

第36条 1、甲府市は、甲府市民の地域福祉・甲府市のまちづくりに参加する意識の向上を図るため、まちづくりに関する講座、講習会等の学習機会を確保し、その生涯学習を推進しなければならない。

      2、甲府市は、市民と共に地域福祉・まちづくりに関する生涯学習に積極的参加し、その成果を甲府市のまちづくりに生かすよう努めなければならない。

 

第7章      甲府市と山梨県と国との関係

 

(山梨県との関係)

 第37条 1、甲府市は、市が自ら地方自治の基礎を成す地方公共団体であるということを自覚し、山梨県との適切な役割分担に努めるとともに、対等かつ協力関係を築くように努めなければならない。

      2、甲府市は、山梨県と対等かつ協力関係であることを認識し、山梨県に対し積極的な意見を述べ、または提言を行うともに必要な協力を求めるものとする。

 

(国との関係)

 第38条 甲府市は、国と対等かつ協力関係であることを認識し、国に対し積極的な意見を述べ、または提言を行うとともに必要な協力を求めるものとする。

 

(他の市町村との関係)

第39条 甲府市は、相互に共通する重要課題の解決を図るために、他の地方公共団体との広域的な連携および協力に努めるものとする。

 

第8章      最高法規性

 

(おらんとうの憲法条例の尊重)

 第40条 この条例は、市政運営における基本理念および基本原則を定めたものであり、甲府市は、他の条例、規則などその他の規程によって制度を設け、または実施しようとする場合においては、この条例に定める事項を最大限に尊重しなければならない。

 

(条例の体系化)

 第41条 甲府市は、この条例に定める内容に沿って、各行政分野に応じて別に基本条例を定めるとともに、他の条例、規則などその他の規定の体系化に努めるものとする。

 

 

(改正要件)

第42条 1、この条例の改正は、議会における出席議員の3分の2以上の賛成により行うことができる。

     2、この条例は、甲府市民の50分の1以上の署名により、甲府市民に改正を要求された場合、改正の検討を議会で審議されなければならない。

附則

 

1、この条例は、平成 年 月 日から施行する。

 

2、甲府市は、この条例を定期的に見直し、最低三年ごとにこの条例の規定について見直しおよび検討し、その結果を踏まえ、必要な措置を講ずるものとする。

 

3、この条例は、私たちの意識を高めるために甲州弁でも示すこととする。

 

 

*これは、私たち「たくら」が各地の条例を参考にして作ったものです。